お客様の声

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星1つ星1つ星1つ星1つ星1つ 近藤 富様
2023/08/08

オットマール・スウィトナーを続けて取り上げる。今回はシュターツカペレ・ベルリンを振ったブルックナーの8番。この曲は好きで、フルトヴェングラー/ベルリンフィルの1949年ライブ、クナッパーツブッシュ/ミュンヘンフィルの1963年スタジオ録音、シューリヒト/ウィーンフィルの1963年スタジオ録音の三つを普段CDで良く聴いている。フルトヴェングラーに関しては、先日このお店で、独ELECTROLAから出ていたDacapoシリーズのLPの一枚を安く手に入れることが出来た。幸運である。
スウィトナーのブルックナーはどうであろうか。第1楽章は、あまり神秘めかさずに淡々と始まる。強音になるところで、オケの迫力に圧倒される。神を求める人間の心が、ヒューマンな形で表現されている。終わりのところの叫びが素晴らしい。第2楽章は、きびきびとした感じが際立っている。金管を思い切って鳴らしているのも良い。トリオに入ると、ぐっと静かで優美になる。スケルツォに戻ると、再びダイナミックな感じになる。第3楽章は、寂しさが極まっている。孤独の中で内面をじっと見つめるかのごとくだ。ヴァイオリンの響きが清浄である。ゆっくりとしたテンポで歩みを進めていくが、もたれることはない。長い楽章だが、緊張感がとぎれることはない。第4楽章は、大胆なまでにダイナミックである。それでいて、静かな部分にはやはり孤独感が漂っている。全編を締めくくるにふさわしい力の入れようだ。そして、全曲終わりの充実感と満足感が凄い。
録音は1986年のデジタル録音で、極めて優秀なクリアーさである。楽器群の個性を立体感を持って捉えている。
このスウィトナーのブルックナー8番は、名盤と言って良いのではないかと思う。とにかく立派な演奏だ。なかなかここまで出来るものではない。このようなレベルの高い名盤に出会えて良かったと心から思う。これから繰り返し聴いていきたい。

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