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  • 近藤 富 様
  • 投稿日:2023年08月17日

バドゥラ=スコダが、古楽器オケのコレギウム・アウレウムを弾き振りした、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。私にとって彼は、ベートーヴェンとシューベルトのピアノソナタ全集をフォルテピアノで完成させた人というイメージが強いが、このような録音もしていた。ちなみにこれが、この曲を古楽器で録音した初めてのレコードということである。その意味で貴重だ。
第1楽章は素朴でなおかつ格調高い。バドゥラ=スコダのフォルテピアノは音が細やかで美しい。それがおだやかな古楽オケと絡むありさまが面白い。強弱のめりはりもある。カデンツァは、ベートーヴェン作→コーダで終わった後に、ツェルニー作→コーダで再び終わる。ツェルニーを聴きたくなければ、針を上げれば良い。第2楽章は大げさにならずに、抑制された感じで演奏されている。フォルテピアノとオケが互いを思いやるような対話をしている。第3楽章は堂々としながらも繊細で優しい。精神的に高い楽しさというものが良く表現されている。全体として、おだやかな繊細さに満ちた、深みのある演奏である。
このレコードには、第4コンチェルトが終わった後に、同素材を用いた幻想曲op.77が収録されている。美しく面白い曲であり、バドゥラ=スコダの演奏も充実している。マイナーな曲だが、名曲のように懸命に演奏している。
録音は各楽器をクリアーに捉えようという傾向を持った優秀なものである。特にフォルテピアノの古楽器的な音が鮮やかに聴こえてくる素晴らしさがある。
良いレコードだと思う。ときおり耳を傾けている。出会えて良かったし、購入出来て良かった。

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