なんと懐かしいサウンドであろうか。子供の頃の楽しみは、手回し蓄音器と「竹ばり」。竹ばりは専用のハッサミがあって、穴が開いていた。そこに一曲聴くごとに差し込んで挟むと先端が削られて音が蘇る。SPレコード時代の話である。ヴァイオリンではハイフェツなどを良く聞いたが親父が借りてきたSPに聞いた事がない演奏家がいた。ポルタメントが妙に艶かしくヴァイオリンとはこんな風にも弾けるんだと思った。その演奏家はジャック・ティボーといったように覚えている。小学3年生の頃だ。その演奏家が日本に来るとも聞いたが、日本に来る途中に飛行機事故で死んだという。なぜか自然と涙が出たことを覚えている。演奏会の切符を買っていた人達はキャンセルをしないで寄付をしたという。なぜかティボーには思い入れがある。その演奏を再びLPで聴くことができてとても心が和む。その後、ヴァイオリンを学び東京芸術大学大学院を修了してNHKの音楽プロヂューサーとなり65歳で退職した。時々真木 礼のペンネームでCD紹介などをしている。