このレコードの事は不勉強で全く知らなかった。ヨッフムのモーツァルトのオペラという事が新鮮に感じられたので、少し冒険するつもりで(迷いながら)購入した。キャスティングは、フィオルディリージがイルムガルト・ぜーフリート、ドラベッラがナン・メリマン、グリエルモがヘルマン・プライ、フェッランドがエルンスト・ヘフリガー、デスピーナがエリカ・ケート、ドン・アルフォンソがディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウである。豪華キャストと言って良いだろう。ヨッフムの指揮は、予想したよりも遥かに躍動感にあふれ、ぐいぐいと音楽を進めていく。なおかつ優美さにも欠けていない。モーツアルトのオペラ演奏としては、文句のつけようがない。歌手たちは、イタリアの歌手に較べてドイツの歌手はそうだと思うが、いたずらに自己主張をすることなく、指揮者のいう事を良く聞いて歌っている。全般的に優等生的な演奏という事が出来るだろう。DGGの独最初期盤ということであるが、優秀なステレオ録音である。音がヴィヴィッドで、演奏の躍動感を引き立てている。ちなみにこのレコード、1面の裏が6面、2面の裏が5面、3面の裏が4面となっている。こういうのは、昔のオペラのレコードなどには良くあったようだ。2年ほど前に購入して、今までに2回ぶっ通しで聴いたが、2回とも非常に楽しめた。本当はもっと頻繁に聴きたいのであるが、いかんせんオペラの全曲盤となると、少々聴くのがおっくうな気持ちになってしまう。その点反省している。ともあれ、これはこれからも何度も聴きたいレコードであることは確かだ。大事に持っていたいと思う。